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個人事業を始める前に決めるべき5つのこと

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〜思いつきではなく、「計画」で動くことが成功の第一歩〜

「個人事業を始めたい」と思ったとき、多くの人が最初につまずくのが「何から始めればいいのか」という点です。
SNSで見かけた人の真似をしてみたり、勢いで屋号をつけてみたり……。
しかし、方向性を決めずにスタートしてしまうと、時間もお金も無駄になってしまうことがあります。

個人事業は、自由度が高い一方で、すべての判断を自分で下さなければなりません。
だからこそ、始める前の“準備”がとても重要です。
ここでは、開業前に必ず整理しておきたい5つのポイントを、具体例とともに紹介します。

目次

① 何をする事業なのか(事業の目的・テーマ)

まず最初に考えるべきは、「どんな事業をやるか」。
言い換えると、「自分が何を提供する人になるのか」です。

たとえば、料理が得意な人なら「お弁当販売」もできるし、「料理教室」や「レシピ販売」も可能です。
同じスキルでも、提供のしかた次第でビジネスの形は大きく変わります。

ここで大事なのは、「自分がやりたいこと」だけでなく、「誰のどんな悩みを解決できるか」という視点を持つことです。
たとえば、

  • デザイナー → 開業したばかりの個人事業主向けに名刺・ロゴを作成
  • セラピスト → 育児や仕事でストレスを抱える女性を癒やす施術サービス
  • カメラマン → 地元で活動する事業者のPR写真を撮影

このように、「自分の得意 × 相手の悩み」をかけ合わせることで、ニーズのある事業テーマが見えてきます。

また、事業を始める目的を明確にしておくことも大切です。
「誰かの役に立ちたい」「地域を元気にしたい」「自分の力で生きていきたい」——その“想い”が、途中で壁にぶつかったときの支えになります。

② 誰に向けて提供するのか(ターゲット設定)

どんなに良い商品やサービスを作っても、誰に届けるかがあいまいだと売れません。
「全員に向けたサービス」は、結局“誰にも届かない”のです。

ターゲットを明確にするときは、「たった一人の理想の顧客」をイメージしてみましょう。
年齢、性別、職業、住んでいる場所、生活スタイル、価値観、よく使うSNSなど、できるだけ細かく描くことがポイントです。

たとえば、

  • 30代女性・子育て中・忙しいけどおしゃれな生活を楽しみたい
  • 40代男性・転職を考えている・副業に興味がある
  • 50代女性・定年後に好きなことで仕事をしたい

このように具体化することで、「どんな言葉で伝えるか」「どんな見せ方にするか」も自然に決まってきます。
ブログやSNSでの発信内容もブレにくくなり、共感されやすくなります。

③ どのように売るのか(販売・集客の方法)

事業のテーマとターゲットが決まったら、次に考えるのは「どうやって売るか」です。
今の時代、販売方法は本当に多様です。

代表的な3つの販売経路を紹介します。

1. 対面販売

リアル店舗・イベント出店・相談会など、直接お客様と会う形。
信頼関係を築きやすく、リピートにもつながりやすいのが特徴です。

2. オンライン販売

ネットショップ(BASE、STORES)、SNS(Instagram、X)、ブログなどを使って全国に販売できます。
初期費用を抑えて始めたい人にはおすすめ。

3. 紹介・口コミ

最初の数名の顧客から紹介をもらうのは非常に効果的です。
チラシよりも信頼度が高く、特に地域ビジネスでは大きな力になります。

さらに集客面では、SNSを活用するのが今や必須。
Instagramなら「世界観」を伝えやすく、LINE公式アカウントなら「つながり続ける」ことができます。
無料のホームページ作成ツール(ペライチ・Wixなど)で、自分の“名刺代わりサイト”を作るのもおすすめです。

そして、これらのツールを使うときは、「見た目より中身」。
「あなたに頼みたい」と思ってもらえるように、プロフィールや実績を丁寧に書くことが信頼につながります。

④ お金の計画を立てる(資金と利益の見通し)

個人事業主の最大の心配は、やはり「お金」です。
「とりあえずやってみよう」と動くと、予想以上に出費がかさんでしまうことも少なくありません。

開業前にお金の見通しを立てると、安心して行動できます。

まず整理したいのは、次の3点です。

  1. 初期費用(開業資金)
     → 設備、仕入れ、ホームページ制作、広告費など
  2. 毎月の固定費
     → 家賃、水道光熱費、通信費、会計ソフト、保険料など
  3. 想定売上と損益分岐点
     → 売上がいくらあれば黒字になるか

たとえば、月の固定費が10万円、原価率が40%なら、
10万円 ÷(1−0.4)=約17万円の売上でトントン。
つまり、月に20万円の売上を目標にすれば少しずつ黒字が出ます。

開業資金が足りない場合は、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」や、自治体の「制度融資」も活用できます。
補助金(小規模事業者持続化補助金など)を使えば、ホームページ制作や広告にかかる費用を抑えることも可能です。

⑤ 数字で計画を立てる(事業計画書をつくる)

最後に、数字で見える形の「事業計画書」をつくりましょう。
事業計画書は、融資を受けるときだけでなく、自分自身の方向性を整理するためにも役立ちます。

書く内容はシンプルでOKです。

  • 事業の目的(なぜやるのか)
  • ターゲット(誰に届けるのか)
  • サービス内容(何を提供するのか)
  • 販売方法(どうやって届けるのか)
  • 価格設定(いくらで売るのか)
  • 売上・経費・利益の見通し

数字で計画を立てておくと、行動の優先順位が明確になり、「何から始めるか」が分かります。
また、計画書を作る過程で自分の考えを整理できるため、開業届の提出や融資相談もスムーズになります。

まとめ:準備が成功の確率を高める

個人事業は、思いつきで始めるよりも「準備して始める」方が確実に成功率が高くなります。
なぜなら、失敗の多くは“想定外”から生まれるからです。
あらかじめ計画しておけば、想定外を減らし、チャンスを広げることができます。

開業届を出す前に、

  1. 事業の目的を明確にする
  2. ターゲットを具体的に決める
  3. 販売方法を選ぶ
  4. お金の見通しを立てる
  5. 計画を数字に落とす

この5つを整理しておくだけで、スタート後のトラブルを大幅に減らせます。

“個人事業”という言葉には、「自分の責任で動く」という意味が含まれています。
でもそれは同時に、「自分の未来を自分でつくる」という自由でもあります。
あなたの「やりたい」を、いよいよ“事業”という形に変えていきましょう。

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プロフィール

kiyoyo kiyoyo 中小企業診断士

これまでに500件以上の小規模事業者の相談を受けてきました。
「やりたいことをどう形にするか」「どうやって続けていくか」——
そんな悩みに寄り添いながら、創業から事業計画づくりまでを一緒に考えてきました。

もともとは金融機関に勤めており、6年間にわたり融資業務を担当。
数字の裏にある「想い」や「ストーリー」を大切にしながら、資金調達のサポートも行ってきました。

このブログでは、初めての個人事業や起業に挑戦する方に向けて、分かりやすく、実践的な情報を発信しています。

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