〜開業までのリアルな流れと成功のポイント〜
「いつか自分の店を持ちたい」
そんな夢を持つ人に人気の業種が、焼肉店です。
家族や友人が気軽に集まれる場として、安定した需要があります。
しかし、飲食業の中でも焼肉店は「設備投資が大きい」「衛生管理が厳しい」など、
開業にあたって注意すべきポイントも多い業種です。
この記事では、開業準備から営業開始までの流れを、
実際の現場を踏まえて分かりやすく解説します。
1. コンセプトを決める:最初の一歩は“誰に何を売るか”
焼肉店の開業で最も重要なのは、コンセプトの明確化です。
「誰に」「どんな焼肉を」「どんな雰囲気で」食べてもらうのかを決めることで、
すべての準備がスムーズに進みます。
🔸 コンセプトの方向性例
| タイプ | 想定顧客 | 平均単価 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ファミリー向け | 子連れ客・地元住民 | 3,000〜5,000円 | 座敷・駐車場完備、ボリューム重視 |
| 若年層向け | 学生・社会人 | 2,000〜3,000円 | 食べ放題・リーズナブル価格 |
| 高級志向 | カップル・接待客 | 7,000〜12,000円 | 個室・和牛中心・上質空間 |
| 一人焼肉専門 | サラリーマン | 1,500〜3,000円 | カウンター中心、回転率重視 |
これを明確にしないまま店舗を作ると、
「内装は高級なのに客層はカジュアル」といったミスマッチが起きます。
2. 事業計画を立てる:数字で現実を見る
コンセプトを決めたら、事業計画書を作成します。
これは銀行融資を受けるためだけでなく、自分の判断軸を整理するためにも必須です。
事業計画でまとめるべき主な項目
- 開業の目的と想い
- メニューと価格設定
- 開業資金の内訳
- 想定売上・利益計画
- 競合店との違い(差別化ポイント)
- 集客方法と広告戦略
焼肉店の初期費用の目安
| 項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 店舗取得費(保証金・礼金等) | 200〜500万円 |
| 内装・設備費 | 800〜1,500万円 |
| 厨房機器(ロースター・冷蔵庫など) | 300〜700万円 |
| 開業仕入・備品費 | 50〜100万円 |
| 広告宣伝費 | 30〜100万円 |
| 運転資金(3か月分) | 200〜400万円 |
| 合計目安 | 1,500〜3,000万円程度 |
資金調達の際には、**日本政策金融公庫の「新創業融資制度」**や、
自治体・商工会の「創業支援補助金」も検討しましょう。
3. 物件探し:立地が命
焼肉店は「立地8割」と言われるほど、場所選びが重要です。
チェックすべきポイント
- 駐車場の有無(家族客を狙うなら必須)
- 煙やにおい対策が可能な構造か
- 深夜営業が可能な地域か
- 近隣の飲食店・競合の状況
また、ダクト・排気設備が設置できるかは必ず確認しましょう。
既存の居抜き店舗であっても、焼肉専用ロースターの設置には
大規模な改修が必要な場合があります。
4. 許認可の取得:必ず押さえる手続き
焼肉店を開業するには、いくつかの行政手続きが必要です。
| 手続き | 管轄 | 内容 |
|---|---|---|
| 飲食店営業許可 | 保健所 | 厨房設備・衛生基準をクリアする必要あり |
| 防火管理者選任届 | 消防署 | 客席数30名以上なら必須 |
| 食品衛生責任者の資格取得 | 各都道府県の講習会 | 1日講習で取得可能 |
| 開業届出書 | 税務署 | 事業開始後1か月以内に提出 |
| 青色申告承認申請書 | 税務署 | 節税のために同時提出がおすすめ |
| 労災・雇用保険の手続き | 労働基準監督署・ハローワーク | 従業員を雇う場合必須 |
| 社会保険(厚生年金・健康保険) | 年金事務所 | 常勤スタッフを雇う場合は加入義務あり |
特に「飲食店営業許可」は、厨房のシンク・手洗いの位置や換気の設計にまで関わるため、
設計段階から保健所と相談しながら進めるのが鉄則です。
5. スタッフ採用と教育
焼肉店では調理だけでなく、接客・ドリンク・片付け・清掃など、
多くの作業を分担する必要があります。
採用時のポイント
- ピークタイムを想定した人員配置(夜・土日)
- 衛生意識の高い人を優先
- 学生アルバイトよりも“飲食経験者”が即戦力
教育で大切なこと
- 網の交換や炭火管理など、衛生・火災リスクに関する指導
- 「ありがとう」「ごちそうさま」など、声掛けの習慣化
- クレーム対応マニュアルの作成
“味”以上に、“人”でリピート率が変わります。
6. 集客とオープン準備
オープン前の1か月は、宣伝・PRに集中します。
具体的な施策例
- Instagram・Googleマップに店舗情報を登録
- 「オープニングキャンペーン(10%OFF)」を実施
- チラシや地域情報誌に掲載
- 地元商工会や地域企業への挨拶回り
最近は「Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)」への登録が必須。
写真・営業時間・メニューを整備するだけで、検索からの来店が増えます。
7. 開業後の運営ポイント
開業はゴールではなく、スタートです。
- 原価率(肉・ドリンク)を常にチェック
- 週1回はレジ締め・在庫確認を実施
- 売上・客数・客単価を記録して分析
- SNSで「今日のおすすめ」「人気メニュー」など継続発信
開業後3か月は特に“改善スピード”が勝負です。
お客様の声を積極的に聞き、柔軟にメニューや価格を見直しましょう。
8. まとめ:夢を「続く店」に変えるために
焼肉店の開業は、資金・設備・人材とハードルが高い分、
成功したときのやりがいも大きい仕事です。
- コンセプトを明確にする
- 数字で計画を立てる
- 許認可・衛生管理を怠らない
- スタッフとともに信頼を積み上げる
この4つを徹底すれば、
“夢”ではなく、“続く事業”としての焼肉店が実現します。
